月から太陽へ2
- mycolorpart0
- 5月22日
- 読了時間: 9分
更新日:5月24日
捏造された熱愛スクープが出るも幸い大き
な話題にならず活動を続ける望それに対し
て太田はもやもやした気持ちを抱えたまま
望の弟、叶人と遭遇する。
◯神楽Rの事務所・外観
◯同・会議室
望と茜、村雲が向かいで座る。
望「休業⁉︎」
茜「そう、上の人たちの判断よ」
望「なんで? ……信じてくれるって」
茜「勘違いしない。そっちじゃなくてこっ
ち」
茜、自分の喉を指さす。
茜「相当無理してるでしょ。ボイトレの先
生からも聞いたわよ」
望「でもそろそろライブも。選抜発表だっ
て」
茜「分かってる。でも今無理したらライブ
にも出られないわよ」
望、俯き手を強く握りしめる。
茜「休業って言っても2ヶ月。特に公表も
しないから、その間しっかり休みなさい」
望「……分かりました」
村雲「これから車出すのでついでに家まで
送りましょうか?」
望「いえ、今日は弟と会う約束があるので
大丈夫です。ありがとうございます」

出ていく茜と村雲。二人が去った後、開い
た扉から望の後ろ姿を見る美雪。
◯同・外観
望、事務所から帽子とマスクをして
外へ出てくる。携帯で時刻を確認し
慌てて走り出す。
◯渋谷・歩道
宮下公園へ向かう道を歩く太田、叶
人。
叶人「すいません。一緒に来てもらっちゃ
って」
太田「ああ、気にしないで。帰り道だか
ら」
叶人「へー家この辺なんすね。すげぇ」
叶人、周りを見渡しながら歩く。
太田「引っ越してきたばっかだけどね。君
は? 東京の人じゃないよね?」
叶人「はい、愛知から。東京で働いてる姉
にちょっと用があって」
太田「仲良いんだ」
叶人「いえいえ、親に届け物頼まれただけ
なんで! 別に仲良いとかじゃ……」
叶人、立ち止まり慌てて手を横に振
る。
太田「そんな否定しなくても。でも直接届
けに東京までくるなんて。よっぽど大切な
もの?」
叶人「いやそれが」
叶人、バックから梱包された芳光の
わらび餅を取り出す。

太田「わらび餅?」
叶人「はい。名古屋で有名な芳光って和菓
子屋のわらび餅です」
太田「えっこれを? わざわざ愛知から
?」
叶人「はい……。朝イチで買って新幹線
で。姉がどうしても食べたいらしくて」
太田「郵送じゃダメなの?」
叶人「消費期限1日らしくて」
太田「(笑いながら)それはまた凄いお姉
さんだね。どんな人か見てみたいよ」
叶人「多分見たことあると思いますけど
ね」
叶人、バックにわらび餅をしまいな
がら独り言のように呟く。
太田「ん?」
叶人「いえ、まあどっちかっていうと一人
暮らしの姉に親が甘いんすよ」
再び歩き始める二人。
◯同・宮下公園・入り口
太田、叶人、宮下公園入り口へ到着
太田「ここが宮下公園」
叶人「え、でか! イメージしてた公園と
全然違う!」
太田「どこで待ち合わせしたの?」
叶人「宮下公園としか……ちょっと連絡し
てみます」
◯同・同・ベンチ
望、帽子とマスクをしてベンチに座
って待っている。携帯の通知がなり
、画面を開くと叶人からメッセー
ジ。
「着いたけどどこ?」
望、携帯のカメラを開き辺りを撮影
し叶人へ送る。
◯同・同・入り口
叶人、携帯に望から写真が送られて
くる。叶人、写真を見る。
叶人「どこだよ」
太田「ちょっと見ていい?」
太田、携帯の写真を見る。
太田「あー多分ここ上がってすぐのとこだ
な」
エスカレーターを指差して叶人を連
れていく。
◯同・同・ベンチ
望、遠くに叶人が見え手を振る。叶
人の隣に太田。
望「え、叶人? と誰?」
望、太田を見るが誰か分からない。

叶人、望に気がつく。
叶人「いました! 多分あそこにいるのが
姉です」
太田「良かったー。じゃあ、僕はこれで」
叶人「ありがとうございました! えっと
……すいませんお名前は?」
太田「僕? 太田です」
叶人「太田さん改めてありがとうございま
した」
叶人、深々頭を下げる。
太田「いえいえ。あ、君は?」
叶人「僕はつ、じゃなくてえー叶人、叶人
です」
太田「叶人君? それじゃあ叶人君、また
どこかで。これ俺の名刺だから良かった
ら」
太田、名刺を叶人に渡しその場を去
っていく。
太田「そっか、最近の子って苗字じゃなく
て最初から名前で自己紹介するんだ」
太田、一人歩きながら呟く。
叶人、望の方に小走りで向かう。
望「久しぶりー叶人」
叶人「うん」
望「うんって。もうちょっと何かないの?
ほら久しぶりのお姉ちゃんだぞ?」
望、両手を広げる。
叶人「別に」
望「はあ、昔は保育園のお迎えに行ったら
お姉ちゃーんって走ってきてくれて可愛か
ったのになあ」
望、叶人の頭を撫でようとする。
叶人、その手を掴んでおろす。
叶人「やめろよ、俺もう高校生。身長だっ
てもう俺の方が高いし」
望「うわ、反抗期? ていうか今の誰?
遠くて誰か分からなかったけど」
叶人「え? ああ太田さん?」
望「太田さん? 誰?」
叶人「駅でぶつかって、で、ここまで道案
内してくれた人」
望「何よそれ。叶人、知らない人に着いて
いっちゃダメっていつも言ってるでしょ。
こら、こら」
望、叶人の頭をふざけてコツンと叩
く。
叶人、望の手を払う。
叶人「だからやめろって。それにあの人は
多分良い人だよ」
望「なんでそんなこと分かるのよ」
叶人「んー姉ちゃんのファンっぽかった」
望「?」
◯同・同・レストラン
レストランのテーブルで向かい合い
食事をする望、叶人。

望「え? 私のグッズがバックに」
叶人「そ。なんか姉ちゃんが写ってる四角
い缶バッチ。だから姉ちゃんのファンかな
って。そうそうこれこれ」
叶人、スマホで検索して缶バッチを
見せる。
望「ああこれね。ん? 限定100個?
えそんなにレアなやつなのこれ?」
叶人「俺に聞くなよ」
望「ていうかファンの人待ち合わせに連れ
てこないでよ。なんかあったらどうするの
よ」
叶人「大丈夫。人を見る目には自信あるか
ら」
望、携帯の缶バッチを見つめる。
× × ×
フラッシュ。
望の目の前に歩く太田の姿。バック
に望のグッズの四角い缶バッチ。
× × ×
望「まさかね。……あ、てことはさ、その
人が私のファンなら私のお陰で叶人はここ
まで辿り着けたってことだよね?」
叶人「は?」
望、ニヤリとして叶人のお皿にある
肉をフォークで刺し食べる。
叶人「あ!」
望「(食べながら)うーん。おいひぃねこ
れ」
叶人「そもそも姉ちゃんが芳光食べたいっ
て言わなきゃここに来てねぇって」
叶人、望のテーブルにあるパフェの
イチゴを手で掴んで食べる。
望「あ! 私のイチゴ……」
叶人「うん。まあまあだね」
望「もう……。私だってまさか直接持って
くるなんて思わなかったわよ。お母さん…
…心配してた?」
叶人「……この前の記事? うーん、どう
だろ。いつもと変わらない感じに見えたけ
ど?」
望「そう。でも心配してないとわざわざ叶
人を東京までこさせないよね」
望、頭を抱える。
叶人「確かに。で、あの記事本当なの?」
望「あんな記事嘘に決まってるでしょ」
叶人「へーそうなんだ。まあどっちでも良
いけど」
望「え、良くないでしょ? アイドルの熱
愛発覚なんてこの世で一番ダメじゃない
?」
叶人「別に? 俺にとっては姉ちゃんに彼
氏ができたかできてないかただそれだけ」
叶人、食事を続ける。
望「……」
叶人「あ」
望「ん?」
叶人「どうせなら今度は有名な人と記事に
なってよ。プロ野球選手とか俳優とか」
望「だから、アイドルは恋愛しちゃいけな
いの」
望、叶人、笑いながら食事を続け
る。
◯都内テレビ局・スタジオ
神楽Rの制服を着たメンバー達がセ
ットが組まれスタジオでカメラに囲
まれテレビ収録を行う。
× × ×
永遠「せーの」
メンバー一同「また来週ー」
永遠、美雪らメンバーが声を揃えて
笑顔でカメラに手を振る。
スタッフ「はーい、オッケーでーす」
永遠「ありがとうございました」
スタッフにお辞儀してスタジオを出
ていくメンバー。
◯同・楽屋
メンバーがテーブルの席に座りそれ
ぞれ帰りの支度をしている。
美雪、一人で携帯を見ている。
永遠、美雪に近づいてくる。

永遠「美雪ーお疲れ様」
美雪、慌てて携帯をしまう。
美雪「永遠さん⁉︎」
永遠「えっ? そんなに驚かなくても。え
っ私ってもしかして怖い?」
美雪「いきなり後ろから声かけられたら誰
だってびっくりしますよ」
永遠「ごめんごめん。美雪、今日の収録な
んか張り切ってたね」
永遠、美雪の隣の椅子に座る。
美雪「変……でした?」
永遠、首を横に振る。
永遠「めちゃくちゃ良かった」
美雪「ホントですか? 良かった。……私
、最近選抜入れてないし。何か変えなきゃ
って思ってそれで……」
永遠「なんか美雪、頼もしくなってきた
ね。昔は収録の度に泣いてたのにね」
美雪「あーありましたねそんなことも」
永遠「そうだ、聞いた? 望が喉痛めて休
業するって」
美雪「……はい」
永遠「同期なんだし連絡取ってあげなよ?
私も休業したことあるけど何もできない
間ってやっぱしきつかったから」
美雪「はい……」
永遠、しばらく美雪を見てから立ち
上がり美雪の肩を叩く。
永遠「何かあったらいつでも相談してね。
私なんかじゃ頼りないかもしれないけど」
美雪「いえ、そんなことないです」
永遠、笑顔で去っていく。
美雪、携帯を開き望の連絡先を見
る。
◯(回想)・神楽R・会議室
向かい合う美雪、望。
望「……ごめん私」
美雪「……ごめんって……なに?」
美雪、怪訝な表情。
望「いや、そうじゃなくて……」
美雪、怒った顔で立ち上がり去って
いく。

◯(戻って)都内テレビ局・楽屋
美雪、携帯を見つめる。
村雲、楽屋へ入ってくる。
村雲「今井さん。もう移動車出ちゃいます
よ」
美雪「すいません。今行きます」
美雪、携帯をバックにしまい立ち上
がり楽屋を出ていく。
◯暗い部屋
パソコンの画面が光る。Xの画面
に「月野望、熱愛認め活動休止へ」
の文字。マウスが投稿をクリック。
間を空けてリポストが0から1、2
と増える。
◯高校の教室
男子高校生二人携帯を見ている。
高校生1「おい。これ見ろよ」
高校生2「えーショック。ファンだったの
に」
◯喫茶店
女子高生2人、携帯を見て座る。
女子高生1「休業? 認めたんだ」
女子高生2「ん? 誰そいつ」
◯ファンの部屋
中年男性が壁に貼られた望のポスタ
ーを破く。部屋には壊れたグッズが
散乱。
◯マンション・望の部屋
望、リビングで曲を流しダンスの練
習。携帯の着信が入り曲が止まる。
画面「マネージャー村雲さん」と表示。
望、電話に出る。
村雲の声「あ、月野さんお疲れ様です。マ
ネージャーの村雲です。あの、そのX…
…見ました?」
望「え? いえ、見てないですけど」
村雲の声「あ、それなら良いんですけど…
…とりあえず明日事務所に来てもらって
も大丈夫ですか?」
望「明日ですか? 大丈夫ですけど。はい
、はい、分かりました。失礼します」
望、通話を切り、不思議そうな顔。
携帯のXのアイコンに目がいく。
人差し指を伸ばしてアイコンをタッ
プしXを開くとトレンドに「月野望
無期限活動休止」と表示。
望、驚き次第に呼吸が荒くなる。
震えながら自分の名前をタップ。

一番上にアカウント名GOの投稿が
表示。
「続報! 神楽R月野望、熱愛認め
無期限活動休止」
望「え? どういうこと?」



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